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artPuffin TIPS へようこそ。

ここでは、海外の公募に応募する際に役立つポイントやコツをお届けします。正解でも正攻法でもありませんが、これまでの経験から得た情報をシェアしています。参考になれば幸いです。

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1.なぜ、海外公募なのか?


私たちがなぜアートパフィンを始めたのか。それは、もちろん自らの成功体験があってのことです。しかし、それ以上に、多くの日本人アーティストが「ただ知らないだけ」という理由であまりに多くのチャンスを逃していることを知ったからです。海外のほうが目に留まる作品や、テーマを扱っている方も多いです。もちろん、国内である程度研鑽を積んでからでないと海外なんてまだ早いと言う声もあると思います。しかし、捨てる神がいれば拾う神もいて、国内外問わず自分に合った公募、審査というのは必ずあります。国内に加え海外公募も手が届く所に来れば、チャンスの分母が桁違いですし、そのチャンスを掴んだ時の露出がワールドワイドであることは今後のキャリアにとって大きなブーストになると考えています。

▶︎ サポート面
海外公募って、渡航費もかかるし、出展料や申請費がすごく高いものも多いですよね。その一方で、制作費や滞在費をサポートしてもらって参加できる公募が本当にたくさんあります。アートパフィンではできるだけ皆さんに負担の少ない公募やサポートが手厚い公募を掲載しています!

▶︎ テーマ面
日本国内ではテーマ不問の公募が多いように思います。ですが、海外は公募によってはテーマがガッチリ固まっていて、環境問題や社会問題、ジェンダーや人種、考古学や文化人類学、などテーマを設けて募集しているケースが多くあります。じゃあ当てはまらるの少なそうと思う反面、やはり自分のテーマに合致した公募に応募、審査員に審査されたいはずです。

▶︎ 審査員面
審査員がその分野のトップランナーであることが多いです。彼らに作品を直で持っていって見てもらうことはほぼ難しいでしょうが、公募を通して見てもらえる機会が得られるのです。そこから、公募に選ばれずとも審査員の中に美術館のキュレーターがいれば違う機会で展示に呼ばれるかもしれませんし、推薦等もあるかもしれません。

▶︎ 渡航の有無
渡航なしで海外キャリアが積めるパターンもあります。展示だと作品を送るだけの場合もありますし、写真の公募展などは、主催者が現地で印刷するパターンも珍しくありません(エディションを設けている作品の場合問題あり)。映像作品も同様です。出版系の公募だと渡航は発生せずに海外で出版してもらえます。

▶︎ 海外公募ってハードル高いんじゃ?

アートパフィンのスタートに先駆けて行ったアンケートにおいて、“これまで応募してこなかった理由”の同率トップは「公募の情報にリーチできない」、「時間や労力を考えると優先順位が低い」、「過去の実績が足りないのではという懸念がある」でした。これらに全て回答すると、

-公募の情報にリーチできない
アートパフィンで簡単解決です。私たちは月に大体600- 1000件ほどの海外アート公募に目を通し、日本から応募できるを選び、その中から更に皆さんのキャリアを後押ししてくれそうな公募をキュレーションしてお届けしています。多言語での情報収集から応募まで何時間も自力で摩耗するのであれば、私たちが助けになれる部分は大いにあります。

-時間や労力を考えると優先順位が低い
海外公募探しは本当に骨の折れる作業です。そもそもどこを探せばいいのか最初は分かりませんし、最近では見つけても自動翻訳やコピーできないようなサイトもあります。そして辿り着いた公募を時間をかけて読んだ結果、「応募資格ないじゃん…」なんてこと、本当に多いです。心身共に擦り減る経験をし、後回しになってきた人も少なくないと思います。公募を見つけた人もその後、英語の応募書類準備が大変そうで、普段の仕事とのバランスを考えると今じゃない、となってしまう。その腰をあげるかは本人次第ですが、確実なことは、一度主要な応募書類を作ってしまえば割と使い回せるので、それ以降の労力はさほどかかりません。もちろんそれぞれの応募でアジャストは必要ですし、企画書が必要な場合はその都度相応の労力はかかってきます。しかし、CV、ポートフォリオ、ショートバイオ、ステートメントが揃っておけば、ある程度の公募に対する骨組みは出来ていると言えます。なので、今後このTIPSでそれらの書類準備の手助けとなるコンテンツを更新していきます。

-過去の実績が足りないのではという懸念がある
自分でブレーキ踏んでしまっていることはないでしょうか。実際に、キャリアのある人から趣味の人まで全員ウェルカム!という公募も多いですし、未だ見ぬ才能を見つけたい、知ってほしい、という思いの公募もあります。そして大抵は実際に実績関係なくいろんなキャリアステージのアーティストを選出しています。なのでとりあえずキャリアが懸念なのであれば、とりあえず応募してみてはいかがでしょうか。筆者の場合は、卒業後初めて公募展に応募し採択された時点での展示歴は1度だけ、その他の実績はゼロでした。

▶︎ 日本人だから応募できる海外公募もある、のに皆知らない。。。

ピンポイントで日本やアジアにルーツがあるアーティストや作品を募集している海外公募もあります。例えば、ロンドンでも指折りのアーティスト・イン・レジデンスであるGAS WORKSは2024年7月29日締切で日本在住アーティストの募集を行っています。知っていましたか?こういうチャンスを逃してほしくないんです。GAS WORKSなんて世界中から皆参加したいAiRの一つです。それが日本在住者だけに開かれているわけです。普段からアンテナを張りまくっている海外在住日本人アーティストは応募できないわけですから、応募者の分母は想像できます。GAS WORKSは全額助成でアーティスト料も支払われ、アトリエ、滞在部屋の設備も綺麗で整っていますし、ギャラリーはコンパクトではありますが、AiRの成果を発表するには申し分のない素晴らしいスペースです。近くのエリアはリトルポルトガルと呼ばれていてご飯が比較的安価ですごく美味しいです。アサリの白ワイン蒸しなんかもう、言わずもがなです。

脱線しましたが、要は海外だからこそ発揮できる強みもあるということです。日本では別に強みでも何でもないことが強みになることもあります。そして、競争率は案外高くなかったりします。

▶︎ 今の円安は逆にチャンス

2024年7月現在、かなりの円安で海外なんてとんでもない!と思われるかもしれませんが、賞金や報酬が円換算で1.5〜2倍になったり宿泊費や交通費が浮くこともあるわけですから、これほどのチャンスは無いと捉えることもできます。

いかがだったでしょうか。正直、海外公募にトライしない理由はないと個人的には思います。アンケートに回答してくれた方がOther欄に書いておられました、「情報があるのなら、やるかやらないか、それだけだと思う」と。そうです。やるだけです。アートパフィンはその手助けをやっていますので是非活用していただければと思います。

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2.こういう公募は注意が必要!


私たちがこういった公募のリスティングを行なっている理由の一つに、世の中にはあまりオススメしない公募も少なくないので、そのような公募はあらかじめ避けて、アーティスト・キュレーターの皆さんにとってプラスになる若しくは糧になる公募をお届けしたいという点があります。

簡単にどういうことかと言うと、その公募の先にあるのは果たしてアーティストの利益なのか、と言うことです。海外の公募にすでに目を向けている方にとっては、公募の情報源はアートパフィンだけでないことも多いと思います。その際、アーティスト側が食い物にされているような公募を掲載していたりするプラットフォームやSNSも散見されるのです。なのでそういった際に、頭の片隅に置いておいて欲しいですし、私たちも出来るだけその種の公募は載せないように努めますが、見極めが足りない場合も出てくるかもしれませんので、こちらでいくつかのポイントをシェアしたいと思います。また、最後に申請料について少し触れていますのでそちらもご覧ください。

1. 公募締切から実施時期までが極端に短い

この項に関しては、作品を海外に輸送しなければならない場合に注意が必要です。あまりに短いとはどれくらいかと言うと、目安は発表から1ヶ月以内です。公募展は意外とすぐに展示できる機会も少なくないのですが、あまりに短い場合の懸念点は主催者側の「作品の扱い」です。そしてできるだけ輸送コストを抑えたい場合はなおさら注意が必要です。

よくある例では、作品が返ってこない、返ってきた時に作品に損傷がある、などが挙げられます。短いスパンで国際的な募集と実施を行なっているギャラリーや企画はその辺が疎かなケースが少なくありません。これはアートフェアも同じです。同じ組織がアートフェアのタイトルと場所を変えて頻繁に行なっている場合もよくありますが、そういった場合にも同様のトラブルのリスクが高いです。大事な作品が外国でトラブルに巻き込まれるケースはなかなか悲惨です。時間的余裕は保障をつけたり、厳重な梱包などこちら側で打てるオプションも増えることになりますので、あまりに短いスケジュールの公募はおすすめできません。

2. ひとつの主催者が高頻度で主催している

前項でも述べたように、同じ組織がタイトルと場所を変えて頻繁に行なっている場合は注意が必要です。必然的にアーティストへの対応やケア、思い入れは希薄になっていきます。その結果、トラブルが多いことも簡単に予想できます。以前筆者も実際に応募フォーム入力まで行きましたが、作品が戻ってこなかった、展示後から連絡がつかなくなる、などのレビューを見つけ、応募を回避しました。

見分けるポイントの一つは、謳い文句が「NYであなたの作品を多くのアートラバーに見てもらいましょう!」など、大都市のブランドで惹きつけている事が多いことです。ヴェニスやロンドンも多いです。これを判断するにはWebサイトに行って、いろんな過去の事例等を精査する必要がありますが、これもかなり無駄な時間なので、アートパフィンでは最大限目を光らせてお届けしています。

3. 有料での記事掲載

世界にはインディペンデント誌から大手出版社までアート専門誌・メディアが溢れています。その中でも注意して欲しいのが、申請料だけでなく掲載料を取っている雑誌やメディアです。彼らは本来コンテンツを売らなければいけないはずなのに、アーティストの申請料を収益源にしています。雑誌の売り上げや広告費等の収益増を頑張ってコンテンツであるアーティストの露出や紹介という健全さや、新たな手法はなく、アーティストに頼っています。そう言ったメディアが成長しているケースは見た事がないので、あまりおすすめはできません。

また、申請料は無料で、選出されたアーティストのみ掲載および出版料がかかる場合もあります。これに関しては申請時にリスクはなく、選出後にその掲載・出版料をご自身がどう捉えるかと言うことになりますが、このタイプの雑誌はインディペンデント且つ美術館や文化施設等のショップで扱われていることも少なくないため、装丁や高品質印刷費用の部分的サポートを掲載作家にお願いしているケースが多いと思います。ですので、申請料か掲載/出版料のどちらかなら自分で考えた上で応募するか否かを考えてください。

また、有名なアートメディアではArtist Directory (アーティスト ディレクトリ) と言って、設定額を支払えば雑誌のページの一角に掲載したり、プラットフォームのセクションに載せてくれたりするアーティストデータベースがあります。こちらは存分に活用されるといいと思います。アーティスト ディレクトリを保有しているメディアは有名な美術館、ギャラリーでの取り扱いや、購読者数・登録者数も相当数ですし、アートプロフェッショナルたちも手に取るため、損はありません。

4. ヴァニティギャラリー

ヴァニティギャラリーは自費展示を主に行うギャラリーのことで、もちろん多くの健全なヴァニティギャラリーがあります。ここで注意して欲しいヴァニティギャラリーとは、公募とはまた違い、EメールやDMで直接応募に勧誘してくるケースが多いです(もちろんヴァニティ公募もあります)。1週間ほどの展示で場所代10~30万円ほどを設定している事があります (個人で出展できるアートフェアなどの出展とはまた別)。 追記:こういったヴァニティギャラリーがスポンサーや協賛で絡んだ公募もあり、これもこの時点で黄色信号です。日本の公募情報でも散見されます。

また、新たな契約アーティストの公募を謳って年間の契約料をとるケースもあります。そしてこれらの金額に関する情報が最後に少し載っていたり、見落としやすい書き方をしています。そしてそう言うギャラリーは往々にしてメジャーなアートシティに拠点があり、注意を逸らして話を前に進めようとします。

筆者のケースではバーゼル、ヴェニス、ニューヨークが多いです。そしてやはり最初は凄く嬉しく、ものすごく前のめりだったのを覚えています。幸い、丁寧にリサーチをしてネガティブなヴァニティギャラリーであることが分かったのでよかったのですが、直接の絶賛と都市のネームバリューには心が動かされますので要注意です。

もちろん、それがアーティストにとってどれほど利益がある事なのか、何に重きを置くのか、判断するのは個々人で全く異なるので否定も肯定もありません。ですが、この場合の前提として、そのギャラリーにとっての顧客は作品を買ってくれるお客さんではなく、アーティストです。そのため、作品を売ることに対する熱量に欠けるケースが多く、なかなかキャリアアップを後押ししてくれている存在とは言い難いと思います。また、マージンもそれなりに取ってくるはずです。もちろん、ロケーションが素晴らしく、コレクターやアートプロフェッショナルたちの目に留まりやすい、売れやすい、積極的に在廊して自分でネットワークを築ける方など、メリットもあるはずですので最終的には個人の裁量です。

申請料について

申請料の有無が応募するか否かに影響することもあるかと思います。実際、条件絞り込みのフィルターに加えるか凄く悩みました(今後加えることもあるかも)。

しかし、ここには主催者側の明確な意図もあります。それは、私たちのような公募をリストアップしたプラットフォームやSNSでの拡散により、かなりの応募が来る事があり、その少なくない数が「とりあえず無料だし応募しとこう」勢だからです。私たちもいちアーティストとして勿論その一部であることもありますし、皆さんにもチャンスがあるのだからとりあえず応募してみることを強くお勧めします。ですが、主催者側からすると、そもそも条件外やあまりに応募の質が低い応募にも時間を割かれることになり、労力と人件費がかなりシビアになってきます。申請料を設けることは「ある程度ターゲット層のアーティストやキュレーターが応募してくる」ためのフィルターの役割も果たしています。そういう意味で、一定の申請料は自身がそのフィルターを抜けることでもありますので、すぐに候補から外すのは早計です。

ただ、筆者の主観では¥7,000~8,000がボーダーラインかなと感じています。つまり申請料が通貨関係なしに40という数字、$40, £40, €40あたりを超してくると、ボーダー超えのお金の行方、自分へのフィット具合や、採択後の先にあるもの、不採択の際に糧になる公募かなどを本当に熟考する必要があると考えています 。ただ、アートパフィンでも40オーバーの公募で我々目線でいいなと思えば掲載しますので、あとはご自身で相談して欲しいと思います。

いかがだったでしょうか。今回は応募する際に念頭に置いて欲しい、注意してほしい事項をまとめてみました。こちらの記事は随時思いついたら更新していきますので、たまに読み直しに戻ってきてみてください。

*この記事を無断転載、コピー、複製、再配布することを固く禁じます。

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3.CVガイド/テンプレ

▶︎ そもそもCVってなに?

皆さんお気づきのように、ほとんどの公募の必要書類の中にCVが含まれています。CVとはCurriculum Vitaeの略で要は「履歴書」です。ただ、履歴書と言っても日本のいわゆる履歴書の書き方とは異なりますし、そのいわゆる履歴書も応募職種でフォーマットや記入項目が違うはずです。ここでいうCVはアーティストCVのことで、アーティストの「アート実践の概要まとめ」、要はこれまでの経験や評価、活動歴などを含めた書類です。キュレーターやアートワーカーの方にはあまり参考にならないかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
今回は公募に応募する際に必要なCV作りのポイントと、最後にベーシックなテンプレート(メンバーの方は無料)をダウンロードしていただけます。

▶︎ なぜCVが必要なのか

ここをまず押さえておかないといけません。別に作品が良ければいいだろ!も、そうなのですが、公募に際し審査する人たちは、基本的にあなたを全く知らない人と考えて下さい。その場合、作品と同時にその審査員にとってあなたのアート実践の足取りを掴むサポート資料となります。例えば身近なところで言うと、知らないアーティストがいて、作品が気になってウェブサイトを訪れたとします。そうです、高確率でAboutやBiographyのページでその人の経歴を見ませんか?私の場合だと、まず最初にそのページに飛ぶことも多いですし、見ずにページを閉じることは殆どありません。CVの必要性と同時にウェブサイトの体裁も気になったのではないでしょうか。ということで、近いうちにアーティストウェブサイトガイドも更新予定です。

1. 一般的なルール

まず最初のルールと言いますか、原則です。
【記入順は常に最新が上】
【 変わったフォントは使わない 】
【 フォントサイズをコロコロ変えない 】
大前提としてCVのデザインは読みやすくあるべきで、個性を出す場所ではありません。当たり前のようで意外と出来てないケースもあり、奇を衒ったデザインや、逆に気を遣わなさすぎて読みにくく仕上がっているCVがあります。なので先ず、読みやすさ優先の書類であることを念頭に置いておきましょう。色も使わない方が無難ですが、使ってもグレーでトーンを2種使う程度にしておきましょう。

ではどのフォントがいいのか?おすすめを挙げておきます。

【San Serief】
Nunito Sans (Google) / Roboto (Google) / Helvetica Neue (Apple) / Sofia (Adobe)

【Serief】
Times New Roman (Apple, Google) / Georgia pro (Adobe)

【日本語mix】
Zen Kaku Gothic (Google) / Hiragino Kaku Gothic (Apple, Google)

筆者はSan Seriefをおすすめします。なぜなら、視認性・可読性・クセが無いというデータが出ていて、多くのユーザーフレンドリーと評価されているウェブサイト、アプリ、印刷物に使われているからです。
フォントサイズは10~14ptの間で見出し含め2種までにしましょう。できれば10or11ptの1種類のみで、太字と大文字・小文字を混ぜながら押し切りたいです。

*以下は会員限定コンテンツになりますが、noteでも同じ記事とテンプレートを買い切りでご利用いただけます。

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4.声を大にして伝えたい出版系公募のススメ

出版系公募、実はとってもチャンスなんです。

日本にもアート専門誌、アート情報メディアなどいくつかあると思います。ただ、日本の人口プラス何人の潜在読者がいるか想像してみてください。日本語をめちゃくちゃ勉強して漢字がわかる人でアートに興味があって日本語のアートメディアに辿り着くか、日本から取り寄せる、もしくは訪日に合わせて日本メディアの情報を多言語でどうにか検索して辿り着く人のことです。

さて、外国語ではどうでしょう。まず英語・スペイン語ネイティブ話者が約4億人ずついます。それプラス、多くの国で英語学習をカリキュラムに組み込んでいます。そうなると英語の雑誌を読める人は…もうすごい数です。

つまり何が言いたいかというと、英語のアート専門誌・メディアに掲載されることは国際的な露出・広告と同義なのです。SNSでいくら自ら世界に発信できるようになった時代であろうと、SNSをやっていなかったり、敬遠しているアートプロフェッショナル・コレクター達は少なからずいます。事実、筆者の友人でもSNSはやっていないが、過去に専門誌や新聞で特集してもらった事によって顧客からの問い合わせが絶えないというアーティストがいます。また、そういったメディアが紹介するアーティストであることで、アートプロフェッショナル・コレクター達たちにとってひとつの指標にもなりますし、美術館や文化施設が取り扱っているケースも多いので一般への露出も期待できます。

また、メディア掲載は先方からのアプローチによるものだけだと思っていませんか?実際、有名な媒体でない限りビッグネームのインタビューやコンテンツを、湯水の如く期待のアーティストを発掘できるわけではなく、メディア側も探しているんです。実際に日本語の情報で海外の出版系公募情報がどこまで知られているか分かりませんが、海外での展示以外でキャリアアップにつながる公募のひとつでもありますのでアートパフィンで見かけた際には是非一度考えてみてください。カテゴリは“コンペ”になります。今回は出版系公募の種類と、意外と恐れる必要のない掲載までのプロセスについて説明します。


出版系公募、実はとってもチャンスなんです。

日本にもアート専門誌、アート情報メディアなどいくつかあると思います。ただ、日本の人口プラス何人の潜在読者がいるか想像してみてください。日本語をめちゃくちゃ勉強して漢字がわかる人でアートに興味があって日本語のアートメディアに辿り着くか、日本から取り寄せる、もしくは訪日に合わせて日本メディアの情報を多言語でどうにか検索して辿り着く人のことです。

さて、外国語ではどうでしょう。まず英語・スペイン語ネイティブ話者が約4億人ずついます。それプラス、多くの国で英語学習をカリキュラムに組み込んでいます。そうなると英語の雑誌を読める人は…もうすごい数です。

つまり何が言いたいかというと、英語のアート専門誌・メディアに掲載されることは国際的な露出・広告と同義なのです。SNSでいくら自ら世界に発信できるようになった時代であろうと、SNSをやっていなかったり、敬遠しているアートプロフェッショナル・コレクター達は少なからずいます。事実、筆者の友人でもSNSはやっていないが、過去に専門誌や新聞で特集してもらった事によって顧客からの問い合わせが絶えないというアーティストがいます。また、そういったメディアが紹介するアーティストであることで、アートプロフェッショナル・コレクター達たちにとってひとつの指標にもなりますし、美術館や文化施設が取り扱っているケースも多いので一般への露出も期待できます。

また、メディア掲載は先方からのアプローチによるものだけだと思っていませんか?実際、有名な媒体でない限りビッグネームのインタビューやコンテンツを、湯水の如く期待のアーティストを発掘できるわけではなく、メディア側も探しているんです。実際に日本語の情報で海外の出版系公募情報がどこまで知られているか分かりませんが、海外での展示以外でキャリアアップにつながる公募のひとつでもありますのでアートパフィンで見かけた際には是非一度考えてみてください。カテゴリは“コンペ”になります。今回は出版系公募の種類と、意外と恐れる必要のない掲載までのプロセスについて説明します。

出版系公募の種類

1. 作品掲載

作品掲載はシンプルに自分の作品をコンテンツの一つとして掲載してくれます。雑誌の場合は1/8ページから4ページ特集など様々なパターンがあります。内容としては、文章は無く作家名・作品名など一般的な情報と作品写真だけの場合と、出版側が文を用意してくれる場合、自分で文を用意する場合があります。

掲載までのプロセスでよくみられるパターンは以下です。
・応募:作品の写真、CV、Short Biography(以下Short Bio) と呼ばれる短い紹介文
・選出:連絡があり、作品の高画質写真、自分で文を用意する場合はその文章の提出。
・確認:出版前に一度PDF等で出版前のデータを見せてくれることが多い。文章もここで再度チェック。
・出版:実際にできた本をくれる場合、デジタルデータだけをくれる場合、割引コードをくれる場合、など様々。

2. 作品&インタビュー掲載

こちらは、インタビュー記事の掲載公募で必然的に作品掲載もあります。また、1の応募の中から更に数人はインタビューも載せます、というパターンもよくあります。いや、英語のインタビューとか厳しいって…と思ったあなた!そんなことはありません。出版側も私たちとオンラインで何時間も話す時間まではない事が多いので、質疑のやり取りはメールで行われます。そうです、このご時世、優秀な翻訳ツールがありますのでそれらを有効活用してやり取りを行えばいいんです。

掲載までのプロセスでよくみられるパターンは以下です。
・応募:作品の写真、CV、Short Bio 、アーティストステートメント
・選出:連絡があり、作品の高画質写真、流れの説明
・インタビュー:あなたの作品や制作に関する質問のリストが送られてくるので、答えて返信する。
・調整:文法やネイティブ的に不自然な表現や言い回しなどを向こうでいい感じに手直ししてくれ、など頼むこともできます。
・確認:出版前に一度PDF等で出版前のデータを見せてくれることが多い。文章もここで再度チェック。
・出版:実際にできた本をくれる場合、デジタルデータだけをくれる場合、割引コードをくれる場合、など様々。

3. アーティスト ディレクトリ

これは企画として公募されているのではなく、常にオープンな公募で、いわばアーティストデータベースのようなもので、さらに平たく言えば“アートプロフェッショナル・コレクター達に向けた広告”です。比較的大きいアート専門メディアはアーティスト ディレクトリを設けているケースが多いように思います。お金を払えば誰でも載せますよ、というパターンから、審査が必要だったり、そもそもメディア側からのアプローチでしか掲載されないパターンまで様々です。これは雑誌の場合だと巻末の数ページの1/8~1/2 に掲載してくれますし、オンラインメディアだと、セクションを設けてアルファベット順やジャンル順で検索できるようになっていたりします。

掲載までのプロセスでよくみられるパターンは以下です。

・応募:作品の高画質写真、CV、Short Bio、掲載料
・選出:選考がある場合のみ
・出版:特に賞与なしの場合が多い。

4. コンペの賞与の中に含まれる

出版系公募とは少し異なりますが、コンペの賞与として賞金や展示+出版物という公募もあります。こちらは主催者がメディアを持っていたり自社出版で図録や雑誌を出している場合に多く見られます。母体がアートメディアである前述の3種よりリーチできる読者は少ないかも知れず、パッケージでの賞与は競争率も高いですが、アワードや賞金に付随して出版してもらえることは、いずれにしても私たちのキャリアにとっての価値はとても大きいものです。

一般的にこの1〜3のパターン+4が主な出版系公募です。インタビュー記事がいい点は、自分のウェブサイトに自分で説明した文章を載せる必要性が減る、という点だと思います。やはり洗練されたアーティストのウェブサイトは文字情報が少ない事が多いですし、欧米ではギャラリー所属を視野に入れている場合はウェブサイトに作品説明や自身の制作背景等を語ることはあまり良しとされていない傾向にあります。そこで、CV、About内のPublicationやBibliography等のセクションでインタビュー記事のリンクを設定しておく事が持つ意味は絶大です。

アートパフィンでは海外に実際に自分が赴かずとも得ることのできる機会の代名詞として、出版系公募にも注力してお届けしています。2度目になりますが、カテゴリ分けはコンペです。多くの方がこのチャンスに気付き、キャリアアップにつながることを願っています。

*この記事を無断転載、コピー、複製、再配布することを固く禁じます。

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5. ポートフォリオガイド

▶︎ ポートフォリオの目的と役割

CVに次いで多くの公募の提出書類の中に含まれているポートフォリオ。それだけ審査側が求めているわけですからポートフォリオもまた、目的と役割がはっきりしています。ポートフォリオを考える上では自身のためのアーカイブや図録の側面もあると思いますが、今回は何かしらの公募のためのポートフォリオ作りを前提に進めていきます。そうすると、応募用ポートフォリオを作る目的は「プレゼン」になります。ポートフォリオの役割は、それを見る人に対して、私はこうこうこういうアーティスト、作家です。ですからこの公募の採択に相応しいのです。と、包括的で説得力のある作品集(ヴィジュアルイメージ)を通して自身のスタイルや能力、ビジョンを伝える役割を果たします。

ポートフォリオは、物理的な本やスリーブフォルダ、デジタルPDFやウェブサイト、あるいはインスタグラムのようなSNSなど、さまざまな形式が考えられます。今回はPDF形式のデジタルポートフォリオにフォーカスしたガイドです。ともかく、アーティストにとって重要なのは、ポートフォリオを注意深くキュレーションし、自分のスタイルやビジョンを最もよく表現する作品を選ぶことです。

1. 原則

【記入順は“新しい→古い”の順番が一般的】
シリーズがあるような作品ではシリーズ別でまとめた方がスタイルや時々の作品の方向性などが整理されていい場合もありますので、どう伝わってほしいかを十分に考慮し順番を決めるのがベストです。

【 変わったフォントは使わない 】
Helvetica Neue, Zen Kaku Gothic, Hiragino Kaku Gothic などのフォントを推奨します。日本語と併記される場合や、日本語が混ざってくる場合などを考慮すると後者2つが無難です。

【 フォントサイズをコロコロ変えない 】
ここは必ず統一した方がいいので、作品情報9pt、行間12pt。シリーズのショートステートメント等のテキスト10ptで、行間14pt。ページの小見出しを12-14ptで設定するといいでしょう。

【 ページはA4 】
ページ設定は基本的にA4に設定しましょう。縦横については、縦が一般的ですが、デジタルポートフォリオの場合、印刷しない限りは閲覧画面は横なので筆者は横も用意しており、場合に応じて使い分けています(この場合、CVも必ず同じフォーマットに揃えます)。どういう使い分けかというと、

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6. TOP10 現代アートマガジン

今回は世界のTOP10現代アートマガジンと称し、これらに掲載されたらグッと箔が付くよ、ひとつの指標としてCVなどでも有効に働くよ、というクラスの世界の現代アート“雑誌”を紹介します。オンラインマガジンではなく、印刷出版されるマガジンに絞りお届けします。

紹介順に順位など優劣はなく、アルファベット順に並んでいます。英語であること、メディアとしてアート界を牽引している、キャリアのあるアートプロフェッショナルが記事を寄稿していること、美術館や著名なギャラリーで取り扱われていること、などを基準に選定しています。

1. Aesthetica Magazine

2002年創刊のイギリスの現代アートマガジンで、50万人以上の読者を誇る、世界で最も読まれているアートマガジンの一つ。アートだけではなく、映画や音楽などのコンテンツも取り上げている。Aesthetica Magazine の売りはなんといっても圧倒的なビジュアルイメージで、プリントクオリティと掲載作品のイメージの美しさが、アート界でのポジションを確固たるものにしている。イギリスではテートモダンやRAなどのトップミュージアムで取り扱われている。また、毎年世界のトップ20、125のアーティストを選出する Aesthetica Art Prize や Aesthetica Short Film Festival、Aesthetica Creative Writing Award など、発信だけではなく、場作りや才能発掘でも広く知られている。

2. Apollo Magazine

1925年創刊の世界で最も歴史あるアートマガジン。現代アートにフォーカスした深みのあるコンテンツで知られ、最新のトピックからトレンド、潮流まで掴むことができる。アーティストやコレクター、その他のアートプロフェッショナルたちへの内容の濃いインタビュー記事も高く評価されており、マーケット情報やアートコレクションに関する洞察も得られることから、


今回は世界のTOP10現代アートマガジンと称し、これらに掲載されたらグッと箔が付くよ、ひとつの指標としてCVなどでも有効に働くよ、というクラスの世界の現代アート“雑誌”を紹介します。オンラインマガジンではなく、印刷出版されるマガジンに絞りお届けします。

紹介順に順位など優劣はなく、アルファベット順に並んでいます。英語であること、メディアとしてアート界を牽引している、キャリアのあるアートプロフェッショナルが記事を寄稿していること、美術館や著名なギャラリーで取り扱われていること、などを基準に選定しています。

1. Aesthetica Magazine

2002年創刊のイギリスの現代アートマガジンで、50万人以上の読者を誇る、世界で最も読まれているアートマガジンの一つ。アートだけではなく、映画や音楽などのコンテンツも取り上げている。Aesthetica Magazine の売りはなんといっても圧倒的なビジュアルイメージで、プリントと掲載作品のイメージの美しさが、アート界でのポジションを確固たるものにしている。イギリスではテートモダンやRAなどのトップミュージアムで取り扱われている。また、毎年世界のトップ20、125のアーティストを選出する Aesthetica Art Prize や Aesthetica Short Film Festival、Aesthetica Creative Writing Award など、発信だけではなく、場作りや才能発掘でも広く知られている。

2. Apollo Magazine

1925年創刊の世界で最も歴史あるアートマガジン。現代アートにフォーカスした深みのあるコンテンツで知られ、最新のトピックからトレンド、潮流まで掴むことができる。アーティストやコレクター、その他のアートプロフェッショナルたちへの内容の濃いインタビュー記事も高く評価されており、マーケット情報やアートコレクションに関する洞察も得ることができる。老舗ながらも充実したオンラインコンテンツもApollo Magazine の強み。

3. ARTFORUM

1962年にアメリカで創刊された現代アートマガジンで、現在世界で最も知られたアートメディアの一つ。手に取ったりオンラインで見たけたことがある方も少なくないはず。経験豊富なライター、キュレーター陣の寄稿するコンテンツは評価が高く、ARTFORUMをチェックしておけばシーンの潮流や注目のアーティスト等が把握できるだろう。また、膨大で良質なオンラインコンテンツも業界随一なのが ARTFORUM の魅力。 雑誌には無い最新のニュースや動画コンテンツなども充実している。

4. ArtNexus

1976年創刊の南米の現代アートにフォーカスしたマガジン。スペイン語と英語で発刊しており、南米の著名な批評家やキュレーターたちをライターに迎え、ラテンアメリカ系のアートシーン、マーケットを深掘りできる。南米で展示や何かしらの機会があったりした場合には真っ先にコンタクトを取るべきメディア。

5. Art Review

1949年創刊のイギリスの現代アートマガジンでARTFORUMと並び最も知られているもののひとつ。良質なレビューやインタビュー記事は多岐に渡り、アートシーンのみならずカルチャーシーンをも内包しながら現代アートシーンを俯瞰で届けている。また、2013年には Art Review Asia を創刊し、アジアの現代アートシーンを世界に発信している。今回のラインナップの中でもオンラインコンテンツの充実度は群を抜いていると言え、ウェブサイトも見やすく心地いいデザインにリニューアルされた。ポッドキャストも配信されているので、リスニングの勉強も兼ねてインプットするのも良いかもしれない。

6. CURA

2009年創刊の CURA は他のマガジンとは一線を画す。CURA はアーティストやシーン、作品というよりは、キュレーションそのものに焦点を当て、展示の批評や現代アートとしての新たな言語、表現方法に関してのコンテンツを発信している。そのため、雑誌自体も雑誌のカテゴリを超え、紙をベースとした展示空間としてダイナミックな構成と表現を行う。そのことからも言えるように、圧倒的な彼らの美学に基づいてデザインされたこの雑誌は、所有欲も掻き立てる雑誌とも言える。

7. Émergent Magazine

2018年にイギリスの現代アート大好きグラフィックコミュニケーションデザイナー2人組によって創刊された現代アートマガジン。このÉmergent Magazine は個人的に最もお気に入りの雑誌。伝統的なメディアや素材よりも、より現代アートの境界を押し広げるようなプロジェクトやアプローチの注目アーティスト、展示を取り上げている。そして、雑誌そのもののエディトリアル、グラフィックデザインも際立っており、MoMA、Tate Modern、Serpentine Galleryといった名だたる美術館で取り扱われているのも納得。整理されたオンラインコンテンツは文字が少なめのビジュアル優位でインスピレーションを掻き立ててくれるのでまずは一度覗いてみて欲しい。

8. Flash Art

1967年創刊のイタリア語と英語で発刊されているマガジン。一般的なコマーシャルギャラリーで見られるような展示というよりは、新進ジャンルや革新的なプロジェクトを取り上げてきたアートマガジン。オンラインコンテンツにも力を入れており、独自のテーマごとにキュレーションされている。

9. HI FRUCTOSE

2005年にAttaboy と Annie Owens の2人のアーティストによって創刊された“アーティスト・ラン・マガジン”。HI FRUCTOSE も異彩を放つマガジンの一つで、いわゆるギャラリーや美術館展示の批評や著名アーティストの記事ではなく、公募によって選ばれたアーティストたちを特集している。そしてその多くがこれまで知られていなかったアーティストたちであり、彼らを特集する雑誌が老舗や資本に割って入り、独自のポジションを確立しているというのはとてつもなく大きな意味がある。エマージングアーティストのキャリアアップを手助けをしたいアートパフィンとしてとても支持しているアートマガジン。

10. JUXTAPOZ

1994年にアーティストとコレクターのグループによって創刊されたアートマガジン。ポップアートやコンセプチュアルアートといった歴史的に現代アートとして認知され時に難解なアートと、ストリートアートやイラストレーションアート、サイケデリックアートといった新進ジャンルをつなぐことを理念としている。その理念が、人々にとってよりアートを親しみやすくし、多くの支持者を集め、2009年にはARTFORUM 等の競合マガジンを抑え売上数で世界トップとなり、指折りの現代アートマガジンへと成長した。

いかがだったでしょうか。今回はTOP10現代アートマガジンをお届けしました。いくつかは公募も行なっていますし、今後これらの雑誌に取り上げられると、より国際的な露出と認知が期待できます。以前の「出版系公募のススメ」でも述べたように、今の拠点から海外のチャンスを得られる公募の一つです。また、今回挙げた雑誌以外にも良質なアートマガジンやメディアは多くありますので是非アンテナを張って応募してみてください。

*この記事を無断転載、コピー、複製、再配布することを固く禁じます。

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7. アーティスト ステートメント前編/ 役割とTips

今回はアーティスト ステートメントを海外の審査員向けor英語版ウェブサイト用に自分で作る際のポイントをお伝えしていきます。
ここで、ひとつ断っておかねばならないのですが、これから記すものは私のここ3〜4年の欧米での経験と、いろんな本、記事で参考になったポイントの詰め合わせのようなものなので、正解でもなければ、決まったセオリーでもありません。ちょっと参考になるかも程度で読んでください。(また、ウェブサイトにステートメントを掲載するのか否か問題がありますが、それはまたウェブサイトの記事で追って言及します。)

ポートフォリオサイトからアートギャラリーまで、芸術関係者はアーティスト ステートメントから様々な恩恵を受けています。レジデンスやアート公募に応募するにしても、ギャラリーにポートフォリオを提出するにしても、コンペに参加するにしても、アーティスト ステートメントはあなたを際立たせるのに役立ちます。作品に惹かれた審査側の人は、あなたの制作プロセスについてもっと知りたいと思うでしょう。皆さんも日頃からより多くの観客にリーチし、芸術的メッセージを世に送り出すためにオンラインプラットフォームを利用しているのではないでしょうか。そこで人々は初めてあなたの作品を目にし、才能あるビジュアルアーティスト、写真家、キュレーターとしてのあなたを知るかもしれません。私たちはデジタルの時代に生きており、アートでさえも、ほとんどのものがインターネット上で初めて体験されています。そして残念なことに、スクリーン上でアートを見ることは、作品の本質を見極めることをしばしば難しくします。

パフォーマンスアート作品の静止画は写真と間違われるかもしれないし、彫刻の写真は絵画のように見えるかもしれない。スーパーリアリズムペインティングは、実在の人物や物体の写真だと思われるかもしれません。さらに進化するAIは活発な議論が行われていますし、適切な説明がなければ、ミクストメディアを使っていることや、他とは一線を画す非常にユニークな手法を使っていることに気づかれないかもしれません。

適切な文脈がなければ、オンラインであろうと対面であろうと、観客はあなたの作品を見て混乱したり、誤解したり、作品の背後にあるあなたのメッセージや意図について思い込んだりする可能性があります。そして、人々があなたの作品をどのように解釈するかはほとんどコントロールできないものですが、アーティスト ステートメントの目標は、あなた自身の言葉であなたのストーリーを語り、読者を正しい方向に導くことです。あなたのアーティストとしての一種の哲学を示す文章とも言え、テーマや背景、プロセス、信念など読み手があなたの制作全体を把握するのに必要だと思われるものが構成のベースになっていきます。そして、何より重要になってくる、「何をしているのか、なぜあなたがそれをするのか」whatとwhyを提示するのがアーティストステートメントであると思います。

私がこの記事を書くまでに読んだ本や記事の中から、手法を取り入れたり参考になった3冊載せておきます。英語で読める人はこの記事も読んで欲しいですが、この3冊を読み込めばかなりためになると思います。

また、下に挙げた本の中では、あるギャラリストが「月に1度もしくは3ヶ月に1度はアーティスト ステートメントを見直し、アップデートしなさい」と言っています。アーティストが人間であるように作品のテーマや目の前にある世界は時とともに移ろい、変化しているはずです。なので大学を出た時に書いたステートメントと、35歳、50歳で書いたステートメントは違ったものになってくるし、なるべきです。ステートメントを見直すことで思考が整理されたり、その先の制作のガイドになってくれたりします。アーティスト ステートメントは、何かに応募するためだけに用意するものではなく、キャリアの輪郭を作る重要なもののひとつである様に私は感じています。なので、そういう視点からも捉えられる様に、その道のプロの言葉と私の経験を交えながら説明していきます。

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8. アーティスト ステートメント後編/ 書く

実際にアーティストステートメントをゼロから作るときに、何から始めたらいいのでしょうか。Social Mediumというアートライティングに関する本の編集者で、アメリカの芸大でアート&ランゲージセンターのダイレクターであるジェニファー・リーゼは「多くのアーティスト・ステートメントは、同じように聞こえる。私の一番のヒントは、モデルや公式に従わないことです。その代わりに、観客、審査員、批評家など、あなたの作品をよりよく理解するのに役立つ具体的な内容をブレインストーミングしてみてください。」と言っています。ただ、それってどうやるの、という話なんですが、スクール・オブ・ビジュアル・アーツのライティング講師であるジェフ・エドワーズも、いきなりステートメントを書き始めるのではなく、書き始める前にアイデアを整理することを勧めています。

材料調達 (ブレインストーミング)

アイデアを整理なんてそりゃそうだろと思う反面、意外とできていない人も多いのではないでしょうか。そこでエドワーズが提案するのは

キーワードやコンセプトをインデックスカードに書き留めてテーブルの上に広げたり、大きな画用紙を使って書く予定の内容を図にしたりする

のもひとつの方法です。あなたの芸術的影響、プロセス、作品の形式的特質、原点、あなたの作品につながる引用などを可視化させましょう。また、個人的におすすめなのが、

散歩フリートーク

です。自分ひとりでもいいですし、誰か友達を誘って、散歩に出かけるのも効果的です。そして歩きながら自分のアート実践についてフリートークをします。2人で歩いている場合質疑応答があってもいいと思います。この時、必ず録音しておくか、文字起こしを忘れないようにしてください。頭の中で考えることと、人に伝えるために口に出すことでは、時に全く違う言葉が出てきます。そして歩くという行為は何かもうひとつ違うチャンネルがあると個人的に思っていて、また違う言葉が出てくることがあるので、材料集めにはおすすめです。こうして材料をある程度集めたら、リーゼおすすめの次のアプローチもとても効果的です。

インタビュアーに聞かれたい質問を5つ書き出す 

これは客観的に素材を整理するのに役立ちますし、what/whyの整理も助けてくれます。まさに私も頻繁に陥るのですが、自分のアート実践における前提が他者にとっては全くそうではないために読者を置き去りにしてしまいがちです。そこでインタビュアー側の客観的視点を持ちながら、自分が答えたい=核として伝えたい事を書き出しましょう。相手の頭の中でイメージが湧く言葉にできるととてもいいです。

フリーライティング

材料が集まってきたくらいで、両者ともに必須プロセスとして薦めているのがフリーライティングです。フリーライティングとは、文の形式や言い回しなどは置いといて、とにかく自由に自分のアイデアを紙に書き続けることです。書き始めると、アイデアに詰まったり、何を書いているか見失ったりすることもあるかもしれません。ですが「座って、完璧な文章や散文が出てくると期待しないでください。アーティストステートメントの長さが大体200ワード程度がよく公募で見かける長さだとすると、その3倍の量を書いてみてください。書けば書くほど、ステートメントの中で適切な疑問やつながりを提起できる可能性が高まります」とリーゼはアドバイスしています。なのでとにかく書くこと。それを助けてくれるのが "時間制限" です10〜20分のタイマーをセットして、ある程度のタイムプレッシャーをかけた上でフリーライティングを始めると、絞り出しの助けになってくれることもあります。限られた時間の中で選択した材料が自分の制作にとって重要な要素であることを示唆していることもあるでしょう。

編集
ここからはいよいよ編集です。編集といってもそれが完成品になるということではなく、前編の構成要素を参考に全体を形作っていくイメージです。しかし、リーゼは「自分の作品について形式的に説明したり、素材の選択について述べたり、自分の活動にとって重要だと思われる背景を説明したりすることは悪いことではありませんが、定型的なアーティスト・ステートメントでは、競争相手から際立つことはできません」と言っていますので、あまり固執する必要はないのかもしれません。事実、アーティストステートメントも、手法や哲学をアカデミズムに則って書く伝統的な書き方から、もう少し砕けた、シンプルで理解しやすいスタイルにシフトしてきているようにも思います。いずれにしても3段落構成が読みやすくまとまると思います。

フリーライティングを元に、さらに2〜3個に細分化させて個別に文章を書いてみましょう。その後その2、3個を一つの項目としてまとめる作業を各段落で行います。エドワーズは、決まり文句、専門用語、無意味な繰り返し、無関係な余談を削除することに集中するようアドバイスしています。「最初に編集に戻ったとき、最初は重要だと思われたものの、実は余計なことを書いていることに気づくでしょう。何を削るかを決めるのは、最初は苦痛かもしれませんが、必ず文章は良くなります」

これらのプロセスを経ると、結構ステートメントとして形になってきていると思います。大変な作業に思われるアーティスト ステートメントもブレインストーミング・フリーライティング・編集の主な3行程だと考えると少し楽になるはずです。

ステートメントとして書く (体裁を整えていく)

抑えるポイント

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9. AiRのススメ

▶︎ Artist in Residence - アーティスト・イン・レジデンスってなに?

アートパフィンに興味を持ってくださっている方の多くがご存知だと思いますが、アーティスト・イン・レジデンス(以下 AiR ) とは、アーティストの制作・キャリアサポートのプログラムのひとつです。参加アーティストは普段のスタジオから離れ、提供される特定の場所に一定期間滞在し制作やリサーチ・ディベロップを行います。よく“エアー” や “レジデンシー” と呼ばれます。日本にもたくさんの AiR があり、日本だとAIR_J 、海外だとRes Artis などがAiRデータベースとして有名でしょうか。

最初のAiRは1900年前後にイギリスやアメリカを中心に、アーティストに対する新しい支援のあり方として生まれました。パトロンたちが自身が所有する建物やアート施設にスタジオを用意しアーティストに制作に勤しんでもらう流れが起きたことが始まりです。同時期に、ヨーロッパではアーティストたちが都会を離れ芸術村を形成し制作拠点とする流れも起こりました。

その後、60年代になるとアーティストのユートピア的なコミュニティを目指すアーティストがレジデンスを形成するグループと、そこから外に開きゲストアーティストを招聘することで、より社会的に変化・刺激をもたらそうとする現在のAiRに近いグループが生まれました。そうして70年、80年代には様々なイニシアチブや団体が興るようになります。

90年代になるとグローバリゼーションの影響で、世界各国に思想や理念も様々で個性的な AiR の波及が起こり、00年代はより人の行き来が簡単になったことで国際交流の側面を持ち始め、美術館やアート機関、行政が AiR を主催するようになってきた頃です。2010年代以降はより特定のトピックや、リサーチにフォーカスした AiR など、アートを触媒として社会や土地を深く洞察・理解するための手法のひとつにもなってきています。

▶︎ なぜ AiR のススメなのか

まずは、美術館・アート機関・行政・有名民間 AiR への参加は賞や展示と同じくらいの価値を持っていることと、公募に応募する際に必ずといっていいほど提出を求められるCV/レジュメにおいても、AiR の経歴は大きな意味を持ちます。それだけでなく、展示、ワークショップ、出版やメディア露出があるケースもよくあることもポイントです。1度のAiR参加でCVに書ける項目が複数できることもあります。

次に、本来の意味である滞在制作することで作品が作れる、リサーチ・ディベロップができることにあります。より強調したいのは、AiRはいつもの制作環境ではない場所で行うため、限られた時間と共に、その場所性が付加されることで自身の境界が外的要因によって広がることがよくあります。その土地をより深く知り、そこを訪れたから、出会ったから作れる作品や習得できる技術がアーティストとして深みと広がりをもたらしてくれるのです。

そして、ネットワーク形成でしょう。AiRは展示で他国や他の地域を訪れることとはまた違った側面を持ちます。国内・海外関係なく、どこかに一定期間滞在するということは、あるコミュニティに属すことでもあります。そして多くのAiRはその土地の特色や産業、人脈といった様々なローカル資源を提供してくれます。また、他にレジデントアーティストがいる場合は、異なる背景のアーティストと交流することで、クリエイティブな相互作用が生まれやすく、AiR終了後もワールドワイドなネットワークへと広がっていきます。いい作品を作り続けることと同じかそれ以上に、人とのネットワークは私たちのキャリアにとってかけがえのないものです。

▶︎ AiR の種類

最初に触れた通り、AiR の形態は多岐に渡ります。ですが、その中でも大きく3つに分けて説明していきます。

① 全額助成のAiR
制作スタジオや工場、図書館等の施設・宿泊施設・制作費・アーティスト料・時には交通渡航費も全てカバーされる AiR です。この条件で募集している機関はオススメのひとつ目に挙げている美術館・アート機関・行政・財団 AiR が多いです。

② 制作スタジオ・宿泊施設の無償提供
運営が所有している施設は無償で提供し、制作費や生活費は自己負担という AiR です。

全額自己負担
AiR 参加に係る経費が全て自己負担の AiR です。

この3パターンが主要なスタイルと言っていいでしょう。ここに、最後に展示があったり、出版があったり、メディア露出・掲載などが加わることも多くあります。そして、どのAiRに応募するかは個人で違うと思います。①がベストであることは間違いないですが、その分必然的に競争率は高いことが多いです。

▶︎ アートパフィンの掲載 AiR について

アートパフィンでは基本的に①と②を中心に掲載しています。というのも、このアートパフィンもアーティストによって運営されているので、できるだけアーティストの経済的負担が少ない公募を紹介したいという思いがあります。(そして世界には有名でなくてもこれだけ負担が少なく参加できる AiR があることも知ってほしい…! )

日本でもACAC、ARCUSやPARADISEなど、世界からも注目されている AiR はありますが、海外に目を向けるとジャンルや特色などバラエティに富んだ①②の AiR がたくさんあります。①はもちろん採択されれば最高なのは言うまでもありませんが、②でも相当なサポートです。アートパフィンでは①②を積極的に紹介していきます。ですが、③も大きな選択肢の一つです。宿泊施設代や展示や宣伝、設備・機材など、そのAiRが提供してくれる物質的な環境を自分で整えようとするといくらかかるのかをまず計算してみましょう。すると意外と設定額は相場よりだいぶ低く設定されている場合もありますので、自分の予算と相談して価値があると思ったら応募してみて下さい。ということで今回はAiRについて書いてみました。定期的に AiR カテゴリもチェックして下さいね!

▶︎ 世界の注目 AiR 14選

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10. 応募に役立つ英単語集#1

Hi there!

今回は英語の書類作りで知っておくと便利な単語集の第1弾をお送りします。皆さん翻訳アプリやAIも活用しておられると思います。ですが、意味は間違いないし自然な英語なんだけど、これってアート系の文章ではあんまり使われない単語だよねっていうシーンはまだ多いと感じています(筆者のプロンプト技術が低いだけかもしれませんが)。逆に、展覧会やアーティストステートメントくらいでしか見ない単語や表現もあったりしますし、めっちゃ知ってるけど、こう言う使い方が有効なの!?とかもあります。あと、ネイティブ的に自然で無くても全く問題ないです。非ネイティブの人が読む場合も多く、そもそも英語圏同士でも国が違えば???ってなることも多いですので。

ではひとつ目

concept → ✔︎ research question 】

皆さん、concept -コンセプト- 使ってませんか?theme -テーマ-はまだ使います。ですが、どんな場面でもコンセプトはほぼ使いません。これは、アートにおけるリサーチや制作プロセスが単なる「コンセプト」以上のものを求められるためです。「concept」だけでは、単なるアイディアや発想として捉えられがちですが、アートではその背景にある理論やプロセスが重要視されます。では代わりにどんな表現が適しているのか。もし、あなたのアートプラクティス全体について言いたいのであれば、「research question 」がよく使われ、単なる「コンセプト」を超えたものとして認識されます。またthemeを使いたい場合でも、「research theme」の方が好印象です。

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