1.なぜ、海外公募なのか?

プレビ⁠ュ⁠ー

私たちがなぜアートパフィンを始めたのか。それは、もちろん自らの成功体験があってのことです。しかし、それ以上に、多くの日本人アーティストが「ただ知らないだけ」という理由であまりに多くのチャンスを逃していることを知ったからです。海外のほうが目に留まる作品や、テーマを扱っている方も多いです。もちろん、国内である程度研鑽を積んでからでないと海外なんてまだ早いと言う声もあると思います。しかし、捨てる神がいれば拾う神もいて、国内外問わず自分に合った公募、審査というのは必ずあります。国内に加え海外公募も手が届く所に来れば、チャンスの分母が桁違いですし、そのチャンスを掴んだ時の露出がワールドワイドであることは今後のキャリアにとって大きなブーストになると考えています。

▶︎ サポート面
海外公募って、渡航費もかかるし、出展料や申請費がすごく高いものも多いですよね。その一方で、制作費や滞在費をサポートしてもらって参加できる公募が本当にたくさんあります。アートパフィンではできるだけ皆さんに負担の少ない公募やサポートが手厚い公募を掲載しています!

▶︎ テーマ面
日本国内ではテーマ不問の公募が多いように思います。ですが、海外は公募によってはテーマがガッチリ固まっていて、環境問題や社会問題、ジェンダーや人種、考古学や文化人類学、などテーマを設けて募集しているケースが多くあります。じゃあ当てはまらるの少なそうと思う反面、やはり自分のテーマに合致した公募に応募、審査員に審査されたいはずです。

▶︎ 審査員面
審査員がその分野のトップランナーであることが多いです。彼らに作品を直で持っていって見てもらうことはほぼ難しいでしょうが、公募を通して見てもらえる機会が得られるのです。そこから、公募に選ばれずとも審査員の中に美術館のキュレーターがいれば違う機会で展示に呼ばれるかもしれませんし、推薦等もあるかもしれません。

▶︎ 渡航の有無
渡航なしで海外キャリアが積めるパターンもあります。展示だと作品を送るだけの場合もありますし、写真の公募展などは、主催者が現地で印刷するパターンも珍しくありません(エディションを設けている作品の場合問題あり)。映像作品も同様です。出版系の公募だと渡航は発生せずに海外で出版してもらえます。

▶︎ 海外公募ってハードル高いんじゃ?

アートパフィンのスタートに先駆けて行ったアンケートにおいて、“これまで応募してこなかった理由”の同率トップは「公募の情報にリーチできない」、「時間や労力を考えると優先順位が低い」、「過去の実績が足りないのではという懸念がある」でした。これらに全て回答すると、

-公募の情報にリーチできない
アートパフィンで簡単解決です。私たちは月に大体600- 1000件ほどの海外アート公募に目を通し、日本から応募できるを選び、その中から更に皆さんのキャリアを後押ししてくれそうな公募をキュレーションしてお届けしています。多言語での情報収集から応募まで何時間も自力で摩耗するのであれば、私たちが助けになれる部分は大いにあります。

-時間や労力を考えると優先順位が低い
海外公募探しは本当に骨の折れる作業です。そもそもどこを探せばいいのか最初は分かりませんし、最近では見つけても自動翻訳やコピーできないようなサイトもあります。そして辿り着いた公募を時間をかけて読んだ結果、「応募資格ないじゃん…」なんてこと、本当に多いです。心身共に擦り減る経験をし、後回しになってきた人も少なくないと思います。公募を見つけた人もその後、英語の応募書類準備が大変そうで、普段の仕事とのバランスを考えると今じゃない、となってしまう。その腰をあげるかは本人次第ですが、確実なことは、一度主要な応募書類を作ってしまえば割と使い回せるので、それ以降の労力はさほどかかりません。もちろんそれぞれの応募でアジャストは必要ですし、企画書が必要な場合はその都度相応の労力はかかってきます。しかし、CV、ポートフォリオ、ショートバイオ、ステートメントが揃っておけば、ある程度の公募に対する骨組みは出来ていると言えます。なので、今後このTIPSでそれらの書類準備の手助けとなるコンテンツを更新していきます。

-過去の実績が足りないのではという懸念がある
自分でブレーキ踏んでしまっていることはないでしょうか。実際に、キャリアのある人から趣味の人まで全員ウェルカム!という公募も多いですし、未だ見ぬ才能を見つけたい、知ってほしい、という思いの公募もあります。そして大抵は実際に実績関係なくいろんなキャリアステージのアーティストを選出しています。なのでとりあえずキャリアが懸念なのであれば、とりあえず応募してみてはいかがでしょうか。筆者の場合は、卒業後初めて公募展に応募し採択された時点での展示歴は1度だけ、その他の実績はゼロでした。

▶︎ 日本人だから応募できる海外公募もある、のに皆知らない。。。

ピンポイントで日本やアジアにルーツがあるアーティストや作品を募集している海外公募もあります。例えば、ロンドンでも指折りのアーティスト・イン・レジデンスであるGAS WORKSは2024年7月29日締切で日本在住アーティストの募集を行っています。知っていましたか?こういうチャンスを逃してほしくないんです。GAS WORKSなんて世界中から皆参加したいAiRの一つです。それが日本在住者だけに開かれているわけです。普段からアンテナを張りまくっている海外在住日本人アーティストは応募できないわけですから、応募者の分母は想像できます。GAS WORKSは全額助成でアーティスト料も支払われ、アトリエ、滞在部屋の設備も綺麗で整っていますし、ギャラリーはコンパクトではありますが、AiRの成果を発表するには申し分のない素晴らしいスペースです。近くのエリアはリトルポルトガルと呼ばれていてご飯が比較的安価ですごく美味しいです。アサリの白ワイン蒸しなんかもう、言わずもがなです。

脱線しましたが、要は海外だからこそ発揮できる強みもあるということです。日本では別に強みでも何でもないことが強みになることもあります。そして、競争率は案外高くなかったりします。

▶︎ 今の円安は逆にチャンス

2024年7月現在、かなりの円安で海外なんてとんでもない!と思われるかもしれませんが、賞金や報酬が円換算で1.5〜2倍になったり宿泊費や交通費が浮くこともあるわけですから、これほどのチャンスは無いと捉えることもできます。

いかがだったでしょうか。正直、海外公募にトライしない理由はないと個人的には思います。アンケートに回答してくれた方がOther欄に書いておられました、「情報があるのなら、やるかやらないか、それだけだと思う」と。そうです。やるだけです。アートパフィンはその手助けをやっていますので是非活用していただければと思います。

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2.こういう公募は注意が必要!