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英語での応募書類準備のアドバイスや
コツをお届けしています。


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CVガイド/テンプレ

▶︎ そもそもCVってなに?

皆さんお気づきのように、ほとんどの公募の必要書類の中にCVが含まれています。CVとはCurriculum Vitaeの略で要は「履歴書」です。ただ、履歴書と言っても日本のいわゆる履歴書の書き方とは異なりますし、そのいわゆる履歴書も応募職種でフォーマットや記入項目が違うはずです。ここでいうCVはアーティストCVのことで、アーティストの「アート実践の概要まとめ」、要はこれまでの経験や評価、活動歴などを含めた書類です。キュレーターやアートワーカーの方にはあまり参考にならないかもしれませんので、あらかじめご了承ください。
今回は公募に応募する際に必要なCV作りのポイントと、最後にベーシックなテンプレート(メンバーの方は無料)をダウンロードしていただけます。

▶︎ なぜCVが必要なのか

ここをまず押さえておかないといけません。別に作品が良ければいいだろ!も、そうなのですが、公募に際し審査する人たちは、基本的にあなたを全く知らない人と考えて下さい。その場合、作品と同時にその審査員にとってあなたのアート実践の足取りを掴むサポート資料となります。例えば身近なところで言うと、知らないアーティストがいて、作品が気になってウェブサイトを訪れたとします。そうです、高確率でAboutやBiographyのページでその人の経歴を見ませんか?私の場合だと、まず最初にそのページに飛ぶことも多いですし、見ずにページを閉じることは殆どありません。CVの必要性と同時にウェブサイトの体裁も気になったのではないでしょうか。ということで、近いうちにアーティストウェブサイトガイドも更新予定です。

1. 一般的なルール

まず最初のルールと言いますか、原則です。
【記入順は常に最新が上】
【 変わったフォントは使わない 】
【 フォントサイズをコロコロ変えない 】
大前提としてCVのデザインは読みやすくあるべきで、個性を出す場所ではありません。当たり前のようで意外と出来てないケースもあり、奇を衒ったデザインや、逆に気を遣わなさすぎて読みにくく仕上がっているCVがあります。なので先ず、読みやすさ優先の書類であることを念頭に置いておきましょう。色も使わない方が無難ですが、使ってもグレーでトーンを2種使う程度にしておきましょう。

ではどのフォントがいいのか?おすすめを挙げておきます。

【San Serief】
Nunito Sans (Google) / Roboto (Google) / Helvetica Neue (Apple) / Sofia (Adobe)

【Serief】
Times New Roman (Apple, Google) / Georgia pro (Adobe)

【日本語mix】
Zen Kaku Gothic (Google) / Hiragino Kaku Gothic (Apple, Google)

筆者はSan Seriefをおすすめします。なぜなら、視認性・可読性・クセが無いというデータが出ていて、多くのユーザーフレンドリーと評価されているウェブサイト、アプリ、印刷物に使われているからです。
フォントサイズは10~14ptの間で見出し含め2種までにしましょう。できれば10or11ptの1種類のみで、太字と大文字・小文字を混ぜながら押し切りたいです。

*以下は会員限定コンテンツになりますが、noteでも同じ記事とテンプレートを買い切りでご利用いただけます。

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ポートフォリオガイド

▶︎ ポートフォリオの目的と役割

CVに次いで多くの公募の提出書類の中に含まれているポートフォリオ。それだけ審査側が求めているわけですからポートフォリオもまた、目的と役割がはっきりしています。ポートフォリオを考える上では自身のためのアーカイブや図録の側面もあると思いますが、今回は何かしらの公募のためのポートフォリオ作りを前提に進めていきます。そうすると、応募用ポートフォリオを作る目的は「プレゼン」になります。ポートフォリオの役割は、それを見る人に対して、私はこうこうこういうアーティスト、作家です。ですからこの公募の採択に相応しいのです。と、包括的で説得力のある作品集(ヴィジュアルイメージ)を通して自身のスタイルや能力、ビジョンを伝える役割を果たします。

ポートフォリオは、物理的な本やスリーブフォルダ、デジタルPDFやウェブサイト、あるいはインスタグラムのようなSNSなど、さまざまな形式が考えられます。今回はPDF形式のデジタルポートフォリオにフォーカスしたガイドです。ともかく、アーティストにとって重要なのは、ポートフォリオを注意深くキュレーションし、自分のスタイルやビジョンを最もよく表現する作品を選ぶことです。

1. 原則

【記入順は“新しい→古い”の順番が一般的】
シリーズがあるような作品ではシリーズ別でまとめた方がスタイルや時々の作品の方向性などが整理されていい場合もありますので、どう伝わってほしいかを十分に考慮し順番を決めるのがベストです。

【 変わったフォントは使わない 】
Helvetica Neue, Zen Kaku Gothic, Hiragino Kaku Gothic などのフォントを推奨します。日本語と併記される場合や、日本語が混ざってくる場合などを考慮すると後者2つが無難です。

【 フォントサイズをコロコロ変えない 】
ここは必ず統一した方がいいので、作品情報9pt、行間12pt。シリーズのショートステートメント等のテキスト10ptで、行間14pt。ページの小見出しを12-14ptで設定するといいでしょう。

【 ページはA4 】
ページ設定は基本的にA4に設定しましょう。縦横については、縦が一般的ですが、デジタルポートフォリオの場合、印刷しない限りは閲覧画面は横なので筆者は横も用意しており、場合に応じて使い分けています(この場合、CVも必ず同じフォーマットに揃えます)。どういう使い分けかというと、

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アーティスト ステートメント前編/ 役割とTips

今回はアーティスト ステートメントを海外の審査員向けor英語版ウェブサイト用に自分で作る際のポイントをお伝えしていきます。
ここで、ひとつ断っておかねばならないのですが、これから記すものは私のここ3〜4年の欧米での経験と、いろんな本、記事で参考になったポイントの詰め合わせのようなものなので、正解でもなければ、決まったセオリーでもありません。ちょっと参考になるかも程度で読んでください。(また、ウェブサイトにステートメントを掲載するのか否か問題がありますが、それはまたウェブサイトの記事で追って言及します。)

ポートフォリオサイトからアートギャラリーまで、芸術関係者はアーティスト ステートメントから様々な恩恵を受けています。レジデンスやアート公募に応募するにしても、ギャラリーにポートフォリオを提出するにしても、コンペに参加するにしても、アーティスト ステートメントはあなたを際立たせるのに役立ちます。作品に惹かれた審査側の人は、あなたの制作プロセスについてもっと知りたいと思うでしょう。皆さんも日頃からより多くの観客にリーチし、芸術的メッセージを世に送り出すためにオンラインプラットフォームを利用しているのではないでしょうか。そこで人々は初めてあなたの作品を目にし、才能あるビジュアルアーティスト、写真家、キュレーターとしてのあなたを知るかもしれません。私たちはデジタルの時代に生きており、アートでさえも、ほとんどのものがインターネット上で初めて体験されています。そして残念なことに、スクリーン上でアートを見ることは、作品の本質を見極めることをしばしば難しくします。

パフォーマンスアート作品の静止画は写真と間違われるかもしれないし、彫刻の写真は絵画のように見えるかもしれない。スーパーリアリズムペインティングは、実在の人物や物体の写真だと思われるかもしれません。さらに進化するAIは活発な議論が行われていますし、適切な説明がなければ、ミクストメディアを使っていることや、他とは一線を画す非常にユニークな手法を使っていることに気づかれないかもしれません。

適切な文脈がなければ、オンラインであろうと対面であろうと、観客はあなたの作品を見て混乱したり、誤解したり、作品の背後にあるあなたのメッセージや意図について思い込んだりする可能性があります。そして、人々があなたの作品をどのように解釈するかはほとんどコントロールできないものですが、アーティスト ステートメントの目標は、あなた自身の言葉であなたのストーリーを語り、読者を正しい方向に導くことです。あなたのアーティストとしての一種の哲学を示す文章とも言え、テーマや背景、プロセス、信念など読み手があなたの制作全体を把握するのに必要だと思われるものが構成のベースになっていきます。そして、何より重要になってくる、「何をしているのか、なぜあなたがそれをするのか」whatとwhyを提示するのがアーティストステートメントであると思います。

私がこの記事を書くまでに読んだ本や記事の中から、手法を取り入れたり参考になった3冊載せておきます。英語で読める人はこの記事も読んで欲しいですが、この3冊を読み込めばかなりためになると思います。

また、下に挙げた本の中では、あるギャラリストが「月に1度もしくは3ヶ月に1度はアーティスト ステートメントを見直し、アップデートしなさい」と言っています。アーティストが人間であるように作品のテーマや目の前にある世界は時とともに移ろい、変化しているはずです。なので大学を出た時に書いたステートメントと、35歳、50歳で書いたステートメントは違ったものになってくるし、なるべきです。ステートメントを見直すことで思考が整理されたり、その先の制作のガイドになってくれたりします。アーティスト ステートメントは、何かに応募するためだけに用意するものではなく、キャリアの輪郭を作る重要なもののひとつである様に私は感じています。なので、そういう視点からも捉えられる様に、その道のプロの言葉と私の経験を交えながら説明していきます。

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アーティスト ステートメント後編/ 書く

実際にアーティストステートメントをゼロから作るときに、何から始めたらいいのでしょうか。Social Mediumというアートライティングに関する本の編集者で、アメリカの芸大でアート&ランゲージセンターのダイレクターであるジェニファー・リーゼは「多くのアーティスト・ステートメントは、同じように聞こえる。私の一番のヒントは、モデルや公式に従わないことです。その代わりに、観客、審査員、批評家など、あなたの作品をよりよく理解するのに役立つ具体的な内容をブレインストーミングしてみてください。」と言っています。ただ、それってどうやるの、という話なんですが、スクール・オブ・ビジュアル・アーツのライティング講師であるジェフ・エドワーズも、いきなりステートメントを書き始めるのではなく、書き始める前にアイデアを整理することを勧めています。

材料調達 (ブレインストーミング)

アイデアを整理なんてそりゃそうだろと思う反面、意外とできていない人も多いのではないでしょうか。そこでエドワーズが提案するのは

キーワードやコンセプトをインデックスカードに書き留めてテーブルの上に広げたり、大きな画用紙を使って書く予定の内容を図にしたりする

のもひとつの方法です。あなたの芸術的影響、プロセス、作品の形式的特質、原点、あなたの作品につながる引用などを可視化させましょう。また、個人的におすすめなのが、

散歩フリートーク

です。自分ひとりでもいいですし、誰か友達を誘って、散歩に出かけるのも効果的です。そして歩きながら自分のアート実践についてフリートークをします。2人で歩いている場合質疑応答があってもいいと思います。この時、必ず録音しておくか、文字起こしを忘れないようにしてください。頭の中で考えることと、人に伝えるために口に出すことでは、時に全く違う言葉が出てきます。そして歩くという行為は何かもうひとつ違うチャンネルがあると個人的に思っていて、また違う言葉が出てくることがあるので、材料集めにはおすすめです。こうして材料をある程度集めたら、リーゼおすすめの次のアプローチもとても効果的です。

インタビュアーに聞かれたい質問を5つ書き出す 

これは客観的に素材を整理するのに役立ちますし、what/whyの整理も助けてくれます。まさに私も頻繁に陥るのですが、自分のアート実践における前提が他者にとっては全くそうではないために読者を置き去りにしてしまいがちです。そこでインタビュアー側の客観的視点を持ちながら、自分が答えたい=核として伝えたい事を書き出しましょう。相手の頭の中でイメージが湧く言葉にできるととてもいいです。

フリーライティング

材料が集まってきたくらいで、両者ともに必須プロセスとして薦めているのがフリーライティングです。フリーライティングとは、文の形式や言い回しなどは置いといて、とにかく自由に自分のアイデアを紙に書き続けることです。書き始めると、アイデアに詰まったり、何を書いているか見失ったりすることもあるかもしれません。ですが「座って、完璧な文章や散文が出てくると期待しないでください。アーティストステートメントの長さが大体200ワード程度がよく公募で見かける長さだとすると、その3倍の量を書いてみてください。書けば書くほど、ステートメントの中で適切な疑問やつながりを提起できる可能性が高まります」とリーゼはアドバイスしています。なのでとにかく書くこと。それを助けてくれるのが "時間制限" です10〜20分のタイマーをセットして、ある程度のタイムプレッシャーをかけた上でフリーライティングを始めると、絞り出しの助けになってくれることもあります。限られた時間の中で選択した材料が自分の制作にとって重要な要素であることを示唆していることもあるでしょう。

編集
ここからはいよいよ編集です。編集といってもそれが完成品になるということではなく、前編の構成要素を参考に全体を形作っていくイメージです。しかし、リーゼは「自分の作品について形式的に説明したり、素材の選択について述べたり、自分の活動にとって重要だと思われる背景を説明したりすることは悪いことではありませんが、定型的なアーティスト・ステートメントでは、競争相手から際立つことはできません」と言っていますので、あまり固執する必要はないのかもしれません。事実、アーティストステートメントも、手法や哲学をアカデミズムに則って書く伝統的な書き方から、もう少し砕けた、シンプルで理解しやすいスタイルにシフトしてきているようにも思います。いずれにしても3段落構成が読みやすくまとまると思います。

フリーライティングを元に、さらに2〜3個に細分化させて個別に文章を書いてみましょう。その後その2、3個を一つの項目としてまとめる作業を各段落で行います。エドワーズは、決まり文句、専門用語、無意味な繰り返し、無関係な余談を削除することに集中するようアドバイスしています。「最初に編集に戻ったとき、最初は重要だと思われたものの、実は余計なことを書いていることに気づくでしょう。何を削るかを決めるのは、最初は苦痛かもしれませんが、必ず文章は良くなります」

これらのプロセスを経ると、結構ステートメントとして形になってきていると思います。大変な作業に思われるアーティスト ステートメントもブレインストーミング・フリーライティング・編集の主な3行程だと考えると少し楽になるはずです。

ステートメントとして書く (体裁を整えていく)

抑えるポイント

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応募に使える便利な英単語集#1

Hi there!

今回は英語の書類作りで知っておくと便利な単語集の第1弾をお送りします。皆さん翻訳アプリやAIも活用しておられると思います。ですが、意味は間違いないし自然な英語なんだけど、これってアート系の文章ではあんまり使われない単語だよねっていうシーンはまだ多いと感じています(筆者のプロンプト技術が低いだけかもしれませんが)。逆に、展覧会やアーティストステートメントくらいでしか見ない単語や表現もあったりしますし、めっちゃ知ってるけど、こう言う使い方が有効なの!?とかもあります。あと、ネイティブ的に自然で無くても全く問題ないです。非ネイティブの人が読む場合も多く、そもそも英語圏同士でも国が違えば???ってなることも多いですので。

ではひとつ目

concept → ✔︎ research question 】

皆さん、concept -コンセプト- 使ってませんか?theme -テーマ-はまだ使います。ですが、どんな場面でもコンセプトはほぼ使いません。(conceptualは使うことはありますが、形容詞なので文脈と役割が異なります。)これは、アートにおけるリサーチや制作プロセスが単なる「コンセプト」以上のものを求められるためです。「concept」だけでは、単なるアイディアや発想として捉えられがちですが、アートではその背景にある理論やプロセスが重要視されます。では代わりにどんな表現が適しているのか。もし、あなたのアートプラクティス全体について言いたいのであれば、「research question 」がよく使われ、単なる「コンセプト」を超えたものとして認識されます。またthemeを使いたい場合でも、「research theme」の方が好印象です。

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